英作ハイク -入門-

お知らせ





1 「ことばにのせて」の刊行
2 俳句と詩の交響―子規・パウンド・ブライを巡って
3 句集紹介:渡り鳥日記
4 Baseball Haiku
5 温家宝首相が自作漢俳をスピーチに
6 鷹羽狩行氏講演「もうひとつの俳句の国際化」
7 句集紹介:風と楕円 −ハイクと絵のコラボレーション
8 合同英語ハイク句集『エンハイクロぺディア』
9 稲畑汀子氏講演「国際俳句に関する日本伝統俳句協会の取り組み」
10 「ドイツ語歳時記」の刊行
11 英訳付句集の紹介:バイリンガル句集『春の潮』
「ことばにのせて」の刊行
全国学生俳句英訳秀句選
日本学生俳句協会主催の全国学生俳句大会の特選句の中から英訳に馴染むものを選んで翻訳し、日航財団と共同で上梓された。
編  集 日航財団
発行所: (株)ブロンズ新社
東京都渋谷区神宮前6-31-15-3B
03-3498-3272
http://www.bronze.co.jp/
  価: 本体 1,500円 + 税
俳句と詩の交響―子規・パウンド・ブライを巡って
演 題: 「俳句と詩の交響―子規・パウンド・ブライを巡って」
講 師: 今井聖(俳誌「街」主宰・HIA会員)
日 時 2008年6月26日(木) 午後1:10〜2:10
主 催: 駒澤大学 文学部 英米文学科
場 所 駒澤大学 駒沢キャンパス・中央講堂
東急田園都市線(新玉川線)「駒沢大学」駅下車、
「公園口」出口より徒歩10分
句集紹介:渡り鳥日記

マブソン青眼さんの第四句集『渡り鳥日記』をご紹介します。
(発行、参月庵、2007年、CDロム付き1000円)

 

渡り鳥はふるさとを
ふたつ持つといふ
渡り鳥の目に地球は
ひとつなり
          青眼

 

頁をめくると手書きの日本語、フランス語、英語の原稿がそのまま本になっていることに親しみを感じます。一句ごとに作家の息遣いまでが伝わってくるようです。ちりばめられた渡り鳥のイラストも読み手をドバイ、北京、巴里、カイロなどへといざないます。
句集は、旅日記、ヴェルレーヌ詩集俳訳、CDROMの俳句 仏訳 英訳の三章からなり、国境も言語の間も自在に越えてゆく渡り鳥の日記そのものです。

 
渡り鳥日記

旅日記より五句:

喜雨待ちて小貝のごとき君の口
白鳥は肌いろとなり暮れの湖
長城来て左右につぼむ地球かな
あら尊と青田のナイルに日の光
鯉幟おろして雲の重みかな
ああ地球から見た空は青かった

Baseball Haiku

Cor van den Heuvel and Nanae Tamura, eds. Baseball Haiku: The Best Haiku Ever Written about the Game. New York: W.W. Norton, 2007.

米国で出版されたハードカバーの野球俳句アンソロジーのご紹介です。
コア・ヴァンデンフーヴェル&田村七重編 『ベースボールハイク』
(W.W.ノートン社(www.wwnorton.com ) 、USA、2007年
ISBN 978-0-393-06219-9, $19.95)

Baseball Haiku

30名のアメリカの俳人、15名の日本の俳人による珠玉の野球俳句および川柳を200句以上おさめ、「延長戦」と題された第三章ではコア・ヴァンデンフーヴェル氏が日米の野球事情についての一文を載せています。氏は『ザ・ハイクアンソロジー』 を編集した功績などにより正岡子規国際俳句賞を受賞されています。田村七重氏は松山で国際交流や子規新報のコラムニストとして活躍されている俳人です。

the young grass
kids get together
to hit a ball
 

若草や子供集まりて毬を打つ   正岡子規
wakakusa ya kodomo atsumarite mari wo utsu

 
野球ファン俳句ファン待望の一冊です!
*本書は俳句文学館にても閲覧可です。
温家宝首相が自作漢俳をスピーチに
今田 述
四月十一日来日した温家宝首相は、十二日は国会に臨み皇居を訪問したあと、夜の経済五団体主催の歓迎宴に出席し、前夜ホテルで作ったという漢俳をスピーチの中で披露したと新聞が報じています。
温家宝
和風化細雨
桜花吐艶迎朋友
冬去春来早
He-feng hua xi-yu,
Ying-hua tu yan ying peng-you.
Dong qu chun lai zao.
「柔らかな清明の風が細かい雨に化した。櫻の花は艶を吐いて朋友を迎えてくれた。冬は去って春が来るのは早いに違いない」という、首相の願いが込められた一首です。
これまでも中国を代表する為政者が来日すると詩を呈しました。江沢民も朱熔基も七言絶句を呈して所信を陳べました。しかし漢俳が用いられたのは今回が初めてです。一つのエポックといっていいかも知れません。漢俳を詠んだ理由は、無論相手が日本だから俳句に敬意を表したということがあるでしょう。と同時に今や漢俳が中国で普遍的に認められた詩型となったことを示しています。殊に今回の温家宝氏の日本訪問は、中央電視庁によって中国国内でも同時放映されていました。そのことを考えると、漢俳の普及が視聴者に違和感を感じさせない程にまで普及したことが窺えます。
曾つて東アジアには漢字文化圏という概念がありました、そこには中国と日本以外に多くの国が含まれていました。南北朝鮮は勿論、台湾、香港、ベトナム、シンガポール、更にはインドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、カンボジャ、ラオス、ミャンマー等の東南アジアに居留する漢民族は、その漢字文化圏を形成する構成員でした。
二十世紀を通じて民族主義が台頭し、各国で漢字を廃する選択が続きました。ベトナムはフランス植民地時代に漢字を放棄しました。ホウチミンが優れた漢詩人であることなど今では知らない人が多いと思います。南北朝鮮は戦後相次いで漢字を棄ててハングルのみに依存しました。インドネシアでは七〇年代、華僑をインドネシア人に同化させる証として漢字使用が禁じられました。こうして各地の漢字受難が進み、今では国家として漢字教育を推進しているのは、日本以外ではシンガポールの一部市民位かも知れません。しかしアジアの諸国が漢字を抛擲したことが正しかったかは、今後の歴史が立証するところとなるでありましょう。現に中国と国境を接するベトナム、タイ、カンボジャで、小学生が中国語を熱心に習っている映像が最近送られて来ています。
日本でも戦後は漢字全廃の議論がありました。漢字を制限して残すという結論を出した当時の国語審議会は、どの字を残すかの作業を恰も主要業務としていた観がありました。パソコンが普及した現在から見ると、あんな馬鹿馬鹿しい仕事に偉い先生が血道を上げていたのがウソのような気がします。ともかくも漢字を残すことにした所以は、日本文学が漢字と切り離し得ないほど密着した性格を有していることが挙げられるでしょう。
漢字文化圏では、一国を代表する為政者が他国を訪問するときは、漢文で書いた親書を持参し、訪問者は自ら詩を詠んでこれに添えるのが習慣でした。無論唐や宋や明に特使を送った国は、小国まで入れると百に余るほどあったことでしょう。中には漢文の親書など書けない国もあったに違いありません。そのような国は未開の蛮国と見られたのです。だから各国の外交にとって漢文の習得は最も大事な技能であり、詩文をよくすることは教養を示す最大の条件でした。歴史をふり返っても菅原道真が渤海大使の裴氏と詠み合った酬答詩(互いに次韻して応答する詩のこと)の如きは、相手をして「白居易に劣らない」と激賞させたほどの出来でした。
このような習慣は出来の良し悪しは兎も角として、明治時代末期頃まで継続されていました。伊藤博文は大陸へ行くときは何時も、作詩の指南であった森槐南を、東大教授を辞めさせて随行者に加えていました。伊藤がハルピンで暗殺されたのは一九〇九年(明治四二年)のことですが、このときも森槐南が随行していて彼も流れ弾で負傷しています。伊藤の柩に付き添って帰国する際に、伊藤の業績を称えて詠んだ百韻の長詩があり、明治時代を代表する作品といわれています。この事実は伊藤が行く先々で、首長らから詩を受けると応酬して詩を呈していたことを物語っています。
温家宝の前任者の朱熔基も、当時の主席江沢民も理系出身の人でしたが、行く先々で首長に詩を呈しています。それは漢字文化圏の習慣に他ならないからです。江沢民が来日したとき、彼は仙台の魯迅が学んだ学舎を見たいと希望しました。そのとき案内したのは当時の市長藤井黎氏ですが、藤井さんから江沢民の色紙のコピーを送って頂いたことがありました。
応酬詩とはどんなものでしょうか。七言絶句の場合だったら同じ韻字を使って答えます。どうせ中味は儀礼的なものですから、方法さえ覚えておけばそれほど難しい話ではありません。それが出来たら相手は首長として中国と同等の漢字文化を持つことを認識して呉れます。そして当然愛着を感じることでしょう。脚韻は漢俳の場合は五・七・五各行の末字を用いればいいでしょう。温氏の作に和してみます。
怒天降酸雨
風害沙塵何悩友
等願設防早
怒天 酸雨を降らせ
風害沙塵 何ぞ友を悩ます
等しく願う 防ぎを設くること早きを

今回、温氏は公害排除のノウハウの関心が強かったので題材に選んでみました。ともあれ一国の首相のスピーチに漢俳が登場したことが、日本の文化人の興味をさらに漢俳に向けさせることにるでしょうか
鷹羽狩行氏講演
「もうひとつの俳句の国際化」
2006年6月6日に開催された総会に引き続き鷹羽狩行氏による講演会が実施されました。

鷹羽狩行氏 講演
2006年6月鷹羽狩行氏講演
句集紹介:風と楕円 −ハイクと絵のコラボレーション
当協会会員で現代俳句協会会員・「豈の会」「未定の会」同人の高橋比呂子氏の句集をご紹介します。日本語と英語と絵のコラボレーションの詰まった一冊です。
『風と楕円 −ハイクと絵のコラボレーション 
WIND AND ELLLIPSE −A Collaboration of Haiku and Pictures−』
高橋比呂子+岩本拓郎著 沖積社 2005年7月21日発行
雪の日のピエロを受胎していたり
I am pregnant with the clown of snowy day

エデンにも西ある朝のterrorist (てろりすと)
At the West of Eden
a terrorist in the morning

死は自動ドア・三面鏡は万緑
Death is an automatic door
the triple mirror is lush verdure
句集に『アマラント』、『ふらくたる』共著に『日英対訳現代俳句2001』
合同英語ハイク句集『エンハイクロぺディア』
いよいよ来月11月13日には国際俳句交流協会の15周年記念大会が行われます。当日の講演者のお一人であるStephen H. Gill(スティーヴン・H・ギル)氏は関西で英語ハイクのHailstone Haiku Circle(ヘイルストーン・ハイク・サークル)を主宰しています。そのGill(ギル)氏編・監修になる2005年版合同句集『ENHAIKLOPEDIA』(109頁)をご紹介します。百科事典という意味の「エンサイクロぺディア」と「ハイク」を掛けたしゃれたタイトルです。歳時記が季節別に例句を挙げているように、本書ではAからWまで百科事典のように項目ごとに関連のある俳句を載せています。項目はANIMAL, AROMA, BIRD, BODYと続きます。対訳の付いている句もありますので3句ほどあげておきます。
HOMEの頁には:
departure:
at the door
one pink rosebud
門出:
戸口に
ピンクの薔薇のつぼみが一つ
  Ursula Maierl
STONEの頁には:
a cove so near, so far―
rolling with the clear waves
pebbles of Asturias
入江が近く、そして遠い―
澄んだ波にころがる
アストゥリアスの小石
  Tito
TAOの頁には:
the mist lifts slowly,
unveiling on the mountains
cherry trees in bloom
霧晴れて
頂きに映ゆ
山桜
  Nobuyuki Yuasa
春の潮といった具合です。50名の俳人が集う作品群の中にはコンクリートハイクや俳文もあり楽しい本に仕上がっています。砂浜の波打際にのこる鳥の足跡の写真が表紙で、裏表紙には雪と石。それぞれSEA, BIRD,STONE,SNOWという文字を散らしてあります。
ISBN 4-9900822-2-2,送料込み1500円。

問合せ先:
「ヘイルストーン・ハイク・サークル」出版担当
〒565-0851
大阪府吹田市千里山西6−62C−907
ファックス・電話:06−6821−6074

文責・宮下惠美子
稲畑汀子氏講演
「国際俳句に関する日本伝統俳句協会の取り組み」
2005年5月21日に開催された総会に引き続き稲畑汀子氏による講演会が実施されました。

稲畑汀子氏 講演
2005年5月稲畑汀子氏講演
「ドイツ語歳時記」の刊行
この度永田書房より日本で最初のドイツ語による歳時記が、刊行されました。
本書は、「新歳時記虚子編」花鳥諷詠を基底にして古俳句、近代俳句、現代俳句を選びだして季題を独訳しながら、日本の俳句を紹介したものです。
また本書は、財団法人ドイツ語学文学振興会と国際俳句交流協会ならびに財団法人虚子記念文学館の刊行助成を受けて、出版されました。
「新歳時記虚子編・ハイク・花鳥諷詠」
訳・編者: 加藤慶二 シャウマン・ヴェルナー
発行者: 永田龍太郎
発行所: 永田書房
  〒164-0003
東京都中野区東中野3-5-15
電話:03-5925-3145 
FAX :03-3676-6777
 
英訳付句集の紹介:バイリンガル句集『春の潮』
会員の景山典子さんが、2004年9月に芸林書房より処女句集『春の潮 The Spring Tide』を出版されました。著者は大学・大学院で英語学・英語教授法および 比較文化などを専攻し、現在は高校の英語教師として教壇に立つ傍ら、俳誌「蕗」に投稿されています。俳句という世界で最も短い詩にこめられた詩情をどこまで英語で伝えられるかという試みに挑戦するために全句に英訳を添えたという意欲作です。
馴染みたる茶房の木椅子冬ぬくし
A warm winter day‐
in my favorite wooden chair
in my favorite tearoom
春の潮

芸林書房
ISBN4-7681-5642-8 C0092