3.11 Haiku

2011年3月11日に起きた東日本大震災による、地震、津波そして放射能という未曾有の国難に際し、当協会に震災の翌日からお見舞いのメールや手紙、そして日本人の苦悩を分かち合いたいと海外の俳人たちから多くの俳句が寄せられています。

今年100歳になられる聖路加国際病院理事長の日野原重明先生は、5月初めに被災地を訪れ、その痛手が想像以上に大きいことを知り、被害を受けた人たちの心の中に再起のエネルギーがどうすればわき起こるのかと考えられたと、朝日新聞に連載中の「99歳私の証 あるがまゝ行く」の中で述べられています。

「今、日本人の間には幅広い年齢層に俳句や短歌が流行し、新聞や週刊誌にもかなりの紙面が割かれています。日本の庶民の文化として、音楽や絵画などの芸術に劣らぬものだと私は思います。私は日本音楽療法学会の理事長ですが、俳句や短歌にも音楽のような効果があるのではないかと思います。」

俳句の力を信じて各国から寄せられました日本の東日本大震災の被害者を励ますための俳句をここに和訳をつけて掲載いたします。

  1. イタリア俳句協会より
  2. NHKラジオ海外放送「ハイク募集中!」
  3. オランダより「希望のためのハイク」
  4. イラン初の句会「希望俳句会」

「イタリア俳句協会より」

講評 黒田杏子

廃墟の上で  一番強く叫ぶのは  沈黙

ロザンナ ベルタッキ

より強く叫んでいるのは沈黙,この表現に関心。まさに共感,打たれました。

赤い太陽  日本 原子力  ──新しい1日が

ファブリツイオ トルキオ

6月5日東海地震を想定して浜岡原発の運転停止を菅首相が要請,指示。日本人は生活,生き方を変えて行かねばなりません。

瓦礫の中  恐怖の顔顔に  浮かぶ尊厳

廃墟の中の人の表情に尊厳を見て取られた事に感動します。

ごらん毎日  水の中から──新しく  千古の陽が昇る

アレッサンドロ ペトリ

大自然に対し人間ももっともっと謙虚にならねば,という作者のメッセージに共感します。

4句から強く暖かい連帯感を受け取り感謝感激です   黒田杏子

NHKラジオ海外放送「ハイク募集中!」

日本の被災地の女子中学生の書いた発句にあなたのハイクをつなげて下さい。

オランダより「希望のための俳句」

イラン初の句会「希望俳句会」

2011年5月4日、於:ハナーネ・ホール(テヘラン)

ザーケリー氏blog 東日本大震災の被災者への想いと復興への「希望」をテーマにした「俳句の夕べ」が、テヘラン大学世界研究学部(日本研究科)の主催で開かれました。短詩・HAIKUのみの詩会は、イランでは初めてとのこと。当日は、15名が自作のペルシア語HAIKUを詠みあげました。

フェイスブックを通じた一般公募では、50人から数百句が寄せられました。これらはすでに選句を終え、日本語訳を添えたペルシア語HAIKU集『希望』(仮題)として、出版予定。被災地にも届けたいとのことです。

*ペルシア語記事・写真は、「希望俳句会」を企画した、日本文学の翻訳家Gh.ザーケリー氏(テヘラン大学日本研究科卒・勤務)の報告ブログより。同氏は、近代俳句選集や『奥の細道』、『曽根崎心中』、村上春樹『東京奇譚集』など、訳書多数。