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山桜を観に吉野山へ行き、4年目にして初めて花の吉野を目の当たりにいたしました。その夜は満月が上り、巡り合せの妙に感じ入りました。写真は、吉野水分神社から下りて来る道からの絶景、もう一枚は前日の東大寺のおかっぱ桜の下にて。
インドのコルカタより詩人でもある日本語教師のニルマル・クマル・ダスさんが研修のために来日、3月8日に根岸の子規庵へお連れしました。まず「笹の雪」そして「羽二重団子」に寄り食欲旺盛だった子規を偲びつつ俳句を語り合いました。ダスさんとはコルカタで講演をした際に知り合い、芭蕉や一茶の俳句をベンガル語に訳した本を頂きました。今後は日本語でも俳句を作りたいとのことで、師匠にされてしまいました。
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☆3月20日に県立神奈川近代文学館で開催中の「子規から虚子へ」を観て、有馬朗人・稲畑汀子・大串章・深見けん二さんらを講師陣に稲岡長さんのコーディネートで行われたシンポジウム「花鳥諷詠」を聴いてきました。後日、席が隣同士となった『円虹』の山田弘子主宰より虚子の100句を納めた英訳書を頂戴しましたので、その折に話題となった一句をこの本の英訳でご紹介します。
100 WORKS OF KYOSHI Kyoshi Hyakku、
解説:Teiko Inabata, 英訳:Aya Nagayama and James W. Henry, III, Trafford Publishing,
http://www.trafford.com/08-1466、2009。
Sitting on rattan chair
Trees, weeds, flowers and birds are
Coming to me Kyoshi
籐椅子にあれば草木花鳥来
Touisu ni areba soumoku kachou rai
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☆2009年2月に正岡子規国際俳句賞・スウェーデン賞を受賞されました内田園生HIA初代会長の英訳句集A Simply Universe(Illustrations by Helen K. Davie, Press Here, California 1995)より2句ご紹介します。授賞式のスピーチで、セネガル大使をされていた時に詩人として著名なレオポルド・S・サンゴール大統領の協力で始まったフランス語のハイクコンテストが1979年より続いていて毎年700作品を超える応募あることを知りました。今年の3月11日に行われた第23回大会の様子が写真入りで在セネガル日本大使館のホームページに記事が載っていました:http://www.sn.emb-japan.go.jp/20090330.html
Strolling through
the meadow of clover . . .
into childhood.
rengeno o yuku ya dôji no toki o yuku
Fall, snow
pile up, snow−
I've got famous sake.
yuki no fure tsumore yo ware ni meishu ari
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W・J・ヒギンソンさんが序文で内田さんのハイクを「specific observations drawn from a life of rich familiarity with the world.(世界を熟知している人の目で捉えた句)」。「Through all his work with which I have become familiar the dominant theme is heart. Sonô Uchida would like the world to become reconciled, and his haiku, like his diplomatic career, are devoted to the sort of reconciliation recommended by Bashô: 'Learn of the pine from the pine.' (私が接した全作品を貫いている共通のテーマは心です。内田園生さんは、外交官として世界に調和がもたらされることを望まれたのと同様に、俳句においても、芭蕉が唱えた「松のことは松に習へ」という調和の精神を大切にされています。)」と本書の中で評しています。
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★HIAの顧問で俳文学者の尾形仂(おがたつとむ、1920−2009)先生が、3月26日に逝去されました。先生は、1974年の『蕪村自筆句帳』により読売文学賞受賞、83年に『去来先生全集』共編で文部大臣賞を受賞。主著に、『座の文学』『松尾芭蕉』『芭蕉・蕪村』『歌仙の世界』『蕪村の世界』『俳句の可能性』『俳句往来』など多数。主な編著に『新編芭蕉大成』『蕪村全集』『俳文学大辞典』『江戸時代語辞典』他。先生には、高島屋のポスターに使う蕪村の句の英訳に際して句の細かいニュアンスなどを電話で教えて頂いたことがあり懐かしくお声を思い出していました。
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☆3月27日に早稲田大学で行われた「ジェーン・ハーシュフィールド 詩の朗読会とワークショップ」に参加しました。Jane Hirshfieldさんは日本文学を学び小野小町と和泉式部の翻訳でも知られるアメリカ・ベイエリアを代表する詩人です。THE INK DARK MOON: POEMS BY ONO NO KOMACHI AND IZUMI SHIKIBU, Vintage Classics, Random House, 1990. 「英訳をするに当たって、オリジナルを一字一句づつから始めて本当にしっかりと味わい理解した後に、一旦すべてを忘れて英語にしていきます。」という言葉に共感しました。「一首の中に現れるイメージの順序に関しても、言語が異なるので拘らない。」とのこと。詩歌の翻訳をする上で参考になればと思います。
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☆第8回でご紹介しました橋本圭好子さんの日英対訳句集『月の兎』(角川書店、2008年)がアメリカ俳句協会の2008年度メリットブック賞を受賞されていましたのでお知らせいたします。おめでとうございます!
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野鳥の観察が盛んで、王立野鳥保護協会の会員が百万人を超えるという英国よりWING BEATS British Birds in Haiku (John Barlow & Matthew Paul編著、Snapshot Press, Liverpool, 2008, ISBN 978-1-903543-24-5、ハードカバー320pp)が届きました。本書の前半は種類別の野鳥の項目ごとにその鳥を読み込んだハイク、Sean Greyさんの活き活きとした白黒のイラストが鳥の姿を伝える英国野鳥のアンソロジー形式になっています。ハイクの作者名はまとめて下に小さく記され、あくまでも主役は鳥です。105ページを費やした後半の付録では、野鳥と俳句の両方の解説があり、また「英国での地位と季節の言葉のリスト」(日本の歳時記の項目からの転用や英国の季語として提案されたものを含む)の章では、鳥の名前の下に、学名、日本語の名前、伝統的な(日本の)歳時記における季節、英国での状態(国内繁殖、渡り鳥繁殖、冬の渡り鳥など)、英国ハイクにおける季節が記されています。
本書を読んで、四季を分ける日本の立春(2月4日)、立夏(5月6日)、立秋(8月7日)、立冬(11月7日)と英国のCandlemas (Feb.2), May Day (May 1), Lammas (Aug. 1), All Hallows (Nov.1)は、ほぼ同じ時期で対応していることを知りました。アメリカの様に太陽暦に従って春分の日から春が始まり、秋分の日から秋が始まる他の多くの地域とは異なり、日本の歳時記をそのまま転用できる季節感を共有しているということです。(日本の俳句では)季語kigoがキャンバスの広がりとタッチの細密さを一句に与えるので読む側の感動も深まることから、季語が俳句の大切な要素であることが理解されつつあります。西洋においてもハイクに適切な季語を詠み込むことがますます重要視されてきているそうです。芭蕉の「鴉」の種を特定する試みなど、流石は英国の野鳥観察精神!と感心致しました。さて英語ハイクの鑑賞ですが、本書90ページから2句、和訳を付けてみましたがオグロシギがどういう鳥なのよく分からない上に英国の風土もよく知らないので本書に出ていたこの2句の鑑賞を記すことにします。
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Black-tailed Godwit オグロシギ (秋)
Limosa limosa
wild ponies
mooch along the sandbar−
a godwit's breast Matthew Paul
野生のポニー達が砂州をうろついている− オグロシギの胸部
●「オグロシギは秋の季語ですが、この句がおそらく夏の句であろうと思われる理由としてポニーたちが砂州をゆっくりとmooch(俗語でぶらつく、うろつく)していることが挙げられます。そうなると砂州の色とオグロシギの胸の赤褐色の美しい夏羽色とが響きあう」のだそうです・・・。実際の色彩を知らないと鑑賞は難しいですね。
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salt marsh . . .
the movement of godwits
in early dusk John Barlow
塩湿地 . . . 短日のオグロシギの動き
● early duskは冬の季語の「暮れ早し」であると解説があり、「暗くなっていく中にオグロシギの赤褐色を欠いた冬毛が溶け込んでいく感じが出ている」のだそうです。これも実際の鳥の夏羽・冬羽の違いを知らないと鑑賞は難しいですね。いかがでした?
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英国の野鳥の出てくるハイクを読み解くために書棚にあったら楽しい一冊です。
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☆HIA書棚より寄贈された2冊の英語ハイク集をご紹介します。世界俳句協会会員の福富健男さんのHaiku Verses and Prose Pieces (福富健男著、David Dutcher英訳、鉱脈社、2007)より一句:
鼻濁音の青い鴉や新樹光
bidaku-on no aoi karasu ya shinju-kô
A blue-green crow
with its nasal twang−
the gleam of new leaves Fukutomi Takeo
杉森大介さんの『水上発(MIZUKAMI HATHU)』(私家版、2008)より一句:
The white cloud
vanished to the mountain
the autumn cicadas Sugimori Daisuke
白き雲 山へと消えし 秋の蝉 杉森大介
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☆今回の最後は、日航財団編の『かぜのうた Impressions of Wind』,ブロンズ新社、2009、より一句ご紹介します。20年前に始まった地球歳時記Haiku by World Childrenシリーズの第十集目に当たる記念すべき一冊で、金子兜太さんが「生きもの感覚」という序文を書いておられます。
心地よく
やわらかな風
うちに帰りましょう
Indahnya rasa
Angin behembus lembut
Mengajak pulang
Beautiful feeling
The wind blowing gently
Beckoning me home
Nur Alyaa Qamariah bt. Hasanul Bariah (マレーシア、10歳)
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