haiku・つれづれ

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haiku・つれづれ - 第6回

宮下惠美子

Gillena Coxさん
Gillena Coxさん

新型コロナの流行が止まらないまま、2020年11月です。寒さに向かう中、今回はカリブ海の南端に浮かぶ2つの島からなる国トリニダード・トバゴ共和国の俳人をご紹介します。面積は千葉県ほどで、人口は約130万人、公用語は英語です。ジレーナ・コックスさん(1950~)はトリニダード島にある首都ポートオブスペインに住んでいます。俳句を作る仲間も見かけず、俳句協会も無いという中で俳句を作り続けて来たジレーナさんは,2020年の秋田国際俳句コンテストにも入賞しています。ジレーナさんがどのようにして俳句と出会い、世界中の俳句仲間と交流するようになったのか、また、俳句を作るにあたって、トリニダードトバゴの気候・文化がどのように影響しているかなど伺いました。以下はジレーナさんのお話です:

私は現在一人暮らしをしています、子供たちは既に独立しています。俳句は私のよき友であり、「あの陰った月を見てごらん。あの輝く月を見てごらん、歩道の割れ目から芽が出てるよ。キバラタイランチョウの歌声に、「はい」と応えてあげて。」と、やさしく私に語り掛けてくれます。インターネットで俳句と出会い、そこの仲間たちとメールでやりとりをして俳句を作り始め、最初に入選したのは2002年4月の「ヘロンズネスト」への応募でした。以来、俳句だけでなく俳画も様々なコンテストで入選しています。現在ではフェイスブックを中心に俳句活動をしています。

これは2006年1月18日に、私のブログに最初に載せた私の句です。

鳥の歌
雄鶏の鳴き声も入り
再び夜明け
bird songs
including the rooster's crow
again dawn gillena cox

私が住むトリニダード・トバゴは多民族社会です。人種のルツボ、あるいはあらゆる人生のスパイスを効かせたシチューという感じでしょうか。ここでは四季のうちの「寒い季節」を欠いています。カリブ海に囲まれて年中暑く乾季(時折旱魃が襲います)と雨季(時折嵐やハリケーンがやってきます)に分かれています。私はローマカトリック教徒ですので、宗教的な行事はとても大切です。

手を組んで
繰り返すホサナ
受難の主日
folded palms
reiterate hosanna -
Passion Sunday gillena cox

カーニバルは最も大きく魅力的な文化行事です。毎年2月に首都ポートオブスペインで開催され、世界中から数十万人の観光客がやって来ます。スティールパン(ドラム缶から作られた音階のある打楽器)発祥の地であり、カリビアンミュージックが鳴り響きます。トリニダード・トバゴは芸術家や作家、医師やデザイナーによって知られるのではなく、その色彩、楽しさ、祝祭によって多くの人々に知られているのです。

雲のパンチャヤット(インドの長老会議)が
テーマや色を審査する
カーニバルで踊る子どもたち
cloud panchayat
judging meaning and colour -
children play mas gillena cox

私は人生が用意した孤独を受け入れています。編み物をしたり、読書、音楽鑑賞、自然の季節の移り変わりを書き留めたり写真に撮ったりすることを楽しんでいます。俳句は、勿論とってもよい友で、仲良くすればする程、どんどん素晴らしい友人を紹介してくれました。自分の句の中で一番好きな句というのは無いのですが、好きな句の中の1句を挙げてみます。

雨の日
本の栞が動く
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rainy day -
the shift of a bookmark
between pages gillena cox

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