「俳句をユネスコ無形文化遺産に」共同会見

2017/1/26(木)
引用元:日本記者クラブ会報2月号

俳句をユネスコの無形文化遺産に登録しよう。日本を代表する俳句4団体のトップが壮大な目標を掲げて結束し、一堂に会した画期的な会見となった。

まとめ役の有馬朗人さんは「第一に世界一短い定型詩。第二に自然と共生する文学。第三に誰でも作れる。共感者が増え世界平和につながる」と俳句の世界的な価値を指摘した。俳句にゆかりのある全国の自治体も加わる。三重県伊賀市の岡本栄市長は「芭蕉が生まれた町としてありがたい。小中学生はみな夏休みには十句作ります」。

締めくくりは4人が自作を解説付きで披露するぜいたくな時間だった。

空といふ自由鶴舞ひやまざるは

稲畑汀子(日本伝統俳句協会会長)
金の靴一つ落ちゐし謝肉祭

有馬朗人(国際俳句交流協会会長)
摩天楼より新緑がパセリほど

鷹羽狩行(俳人協会会長)
初茜耶蘇も仏もまだ卵

宮坂静生(現代俳句協会会長)

「俳句を無形文化遺産に」熱く主張

俳句をユネスコ(国連教育・科学・文化機関)の無形文化遺産に登録しよう――そんな目標に向け、主要俳句団体の会長が、一致団結して決意を表明する会見が開かれた。

壇上に並んだのは、日本を代表する俳句4団体の会長と、俳聖・松尾芭蕉を生んだ三重県伊賀市の岡本栄市長など。4月には、俳句ゆかりの他の自治体なども加えて推進協議会が結成される予定となっている。

国際俳句交流協会会長で元文相の有馬朗人さんは、俳句を推すべき理由を、俳人らしく3点に絞り込んで語った。いわく、俳句は「世界一短い詩」「自然と共生する文学」であり、「誰でも作れる」。とりわけ地球温暖化などの環境問題に、「俳句の自然を愛好するこころは重要な役割を果たせる」と強調した。

俳句の海外での知名度も気になるところだが、西洋では自国語で詠う3行詩としての「HAIKU」が広まるなど、一説には50カ国に200万人の愛好者がいるという。

実際、海外の著名人にもファンは多い。ベルギー首相、EU大統領を歴任したヘルマン・ファンロンパイさんは句集も出している愛好家で、会場ではビデオレターを通じて「ベルギービールが登録されたのに、俳句が登録されないわけがない」と語り、聴衆を沸かせる場面もあった。

課題もある。文化庁によれば、ユネスコに登録を提案するには、文化財などとして保護措置が図られていることが条件だが、俳句はそうなってはいない。過去、口承ではない文芸が登録された事例もないという。有馬さんも「登録までは長期戦になる」と慎重な口ぶりだった。

ただ、やはり無形文化遺産となった和食のように、日本の気候風土が生んだローカルな文化こそがグローバルな世界で評価される、というのもままあること。今後の運動の盛り上がりに注目していきたい。

読売新聞社論説委員 時田 英之
日本記者クラブ会報2月号より

記者会見全容動画/日本記者クラブ