タイの気候と季語
タイは国土の大部分が熱帯サバンナ気候に属しており、年中真夏のように思われがちですが、暮らしてみると意外にはっきりした季節感があり、一般には、暑季(3〜6月頃)、雨季(7〜10月頃)、涼季(または寒季。11〜2月頃)の3季に分けられています。メナム句会では、日本の歳時記に基づく季語の他、このようなタイの季節に合わせ、当地特有の季語も使って作句をしています。また、当地での感覚を大切にし、タイで最も暑い4〜5月に「炎暑」や「蝉」を詠んだり、「ハンカチ」など夏の季語を日本の夏以外の季節にも幅広く使ったりして、自由で柔軟な句作をこころがけています。
では、メナム句会で使っている特有の季語の一例を紹介します(タイだけでなく、他の国で使われている季語もあります)。
【行事】
メナム句会では、タイの年中行事も多く俳句に詠み込んできました。年中行事には、「ソンクラーン(タイ正月)」や「ローイクラトン(灯籠流し)」、「中国正月」などの祭日、「万仏節」や「入安居」、「出安居」など仏教行事、「国王誕生日」、「王妃誕生日」など王室に関わる日、その他「先生の日」や「子どもの日」、「文芸の日」などの記念日もあります。
◎ ソンクラーン(ソンクラン)
タイの太陰暦の正月で、インドに由来しています。現在は、太陽暦の4月13日が元旦とされ、元旦から3日間休日が続きます。年始には年長者の手に清めの水を注ぐ風習があります。ただし、現在では、路上で水鉄砲やホース、バケツを使った「無礼講の水の掛け合い」の方が多く見られます。句会では、「タイ正月」、「灌仏節」、「水掛祭」、「水祭」とも詠んでいます。
◎ ローイクラトン(ロイクラトン、ロイカトン)
太陰暦第11月または12月の上弦15日満月の日に行う灯籠流しの祭で、太陽暦では11月頃となります。バナナの葉の灯籠(クラトン)にロウソクや花を入れて流し、恩恵深い水の精霊に感謝し、農民が感謝を捧げる恒例の祭です。が、現在の若者の間では、恋人同士が一緒に灯籠を流しに行く「愛の日」のようなイメージになってしまっています。
【植物】
タイで見られる花には、1年に1回決まった季節にしか咲かないものと、1年中咲くものとがあります。後者の場合でも、美しく盛りとなる季節が決まっているものがあり、その場合は盛りの季節の季語となります。果物も同様、最もおいしくなる季節があるので、年間にわたって収穫できる果物でも、季語となることがあります。