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選者
金子兜太 稲畑汀子 鷹羽狩行 松澤昭 有馬朗人 木暮剛平 阿部完市 坊城中子
永田龍太郎 山崎ひさを 倉橋羊村 宮津昭彦 大久保白村 津根元潮 加藤耕子
山田弘子
講評
坊城中子

国際俳句交流協会賞
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| 影すこし遅れて廻る走馬燈 |
川崎市 渡辺芙美江 |
この句が大勢の選者から取られました。走馬燈という季題でございますが、よく見かける句でもございますね。この御句のように遅れ廻るところ、その影をおっしゃってらっしゃる。二重に影が追いかけて行く様が大変想像できます。走馬燈とその影、動きのある句材というのは大変後を追うものでございますが、省略が効いて,それが又余韻にもなっております。誰にでも分かる句というのは、常日頃から選者が申しますようにこの句を拝見してすぐに想像ができました。大勢の入選であったわけでございます。 |
ザヴィエルの船出の浜に 引く
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所沢市 三好かほる |
ザヴィエルと申しますと宣教師でありまして、フランシスコ・ザヴィエルでございますね。で船出の港というのでございますが、ザヴィエルはインドのゴアからサイゴン・マカオ、こういうふうな港港を訪ねまして、日本へやって参りました。日本人である大友宗麟という人がザヴィエルを引き受けましてその庇護の下に鹿児島・大分県の中津というところに出てまいりました。ザヴィエルはキリシタンでございましたから宗麟はキリシタンに寄与したわけでございます。南蛮貿易というのをザヴィエルは盛んに致しましてそこで少し仕事をしたようでございますが、作者はこの句のようにお魚を、特に鰯でございますね、その鰯を釣りながらザヴィエルを思い出しております。あっ、iwas此処から船出をしたんだなということで、思い出には尽きぬものがあったようでございますが、追憶の句として又歴史的なことまでも思い出されながら作った句であったと思います。 |

俳人協会賞
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| 新涼や歩く速さに川ながれ |
東海市 久野のり子 |
季題の選び方が的確だったなと思います。御自分の歩みが川の流れに沿っていくその速度でございますね。暑かった夏から、過ぎていきます。風の心地よい川の辺り、皮膚の感覚、秋の初めの涼しい気分が分かります。そして川の周りの木々まで風に揺られている様子がよく見えてよかったと思いました。清清しい気持ちになるように句の中にも現れているように思います。 |

現代俳句協会賞
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| 水を打ち新たな余白つくりけり |
目黒区 古谷 あやを |
中でもこの句は私にとりましては難しいと言いますか、難しい。選評をするのに難しいと感じました。この特徴は感覚的な句であるかなということと、「なんとなく」という感じがして致しかたございません。なんとなくという感じがあり、なんとなくという感性のよさが出ているのではないかと思います。選者それぞれ考えていることは違うと思いますけれども想像の余地があるからその想像の余地に面白さがあるんじゃないかということでございます。 |

日本伝統俳句協会賞
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| 少し酔ひ少し眠りて望の夜 |
千葉市 鳥飼 栄美子 |
これは満月のもとに、一杯飲みながら、その気分は大変頗る爽快でございますが、だんだん時間、時がたつにつれまして、酔いが、酔いとそれから眠気が来たんでございましょう。お三方に乗っているお団子、月見団子だとか薄などが波を打つようになってございましょうか。望の月といいます、十五夜の月、その夜の様子がよくあらわされていて分かり易い句だと思いました。 |

日本経済新聞社賞
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| もう患者来るまいいよよ踊らんか |
福知山市 大槻 右城 |
診療が終れば今宵は盆踊りに行こうという、なんとなくドクターの、医師の予定があるようでございまして、今夜はひとつ踊るという、この方は医師、お医者様でございますね。もう患者が来るまいと断定されて診療所の扉を閉めてお仕舞になったようでございます。ドクターでもやはり人間でございますから気分転換にこういう手段っていうかお楽しみがなければいけないと思いますが。ユーモアのあるお句だと思います。ご自分のお疲れを癒すことも大事なことではないかと思います。先生の踊りにいらっしゃる、その粋の足取りまで想像できまして一寸にやりと致したわけでございます。 |

ジャパンタイムズ社賞
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| ポケットの木の実くつくつ笑ひ合ふ |
調布市 八木 美代志 |
私、「くつくつ」なんていう表現の句を拝見するのは初めてなんでございますね。木の実を誇大に表現なさったんだと思いますが、擬人化の感覚的なものではないかと思うんです。笑いを「くつくつ」、それはポケットの中でございますから、木の実が転がっていたのが重なり合って「ころころ」というのでは平凡過ぎる、それじゃ何か? 「くつくつ」という、字引きを引きますと、人間であるとおかしくてくつくつというところが引かれて参りますが、 木の実がくつくつというところに惹かれました。密かに笑っているような様、これはポケットの中で笑っているわけですから、きっと作者は吟行をなさった時に拾ってお歩きになられたのかもわかりません。 |

選者
星野恒彦 木内 徹
国際俳句交流協会賞(特選)
星野選(和訳共) |
morning fog
the ferryman's laugh
drifts ashore
Nara Bauer (U.S.A) |
朝霧
フェリーマン(渡船夫)の笑い声が
岸にただよう
ナラ・バウワー(アメリカ) |
we go outside
for cigarettes・・・
and fireflies
John Stevenson (U.S.A) |
煙草を吸いに
外へ出る・・・
と蛍
ジョン・スティヴンソン(アメリカ) |
木内選(和訳共)
opening a jar
of fireflies・・・
starry night
Stanford M. Forrester (U.S.A.) |
蛍の
壷を開けると・・・
星の夜
スタンフォード・M・フォレスター(アメリカ) |
The old orchard
The snail shell occupied by
a cherry petal
Zeljko Funda (Croatia) |
古い果樹園
カタツムリの殻は占領されている
桜の花びらに ゼリコ・フンダ(クロアチア) |
tea in the garden
as I shake the sugar packet
cicada
Cor van den Heuvel (U.S.A)
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庭先での紅茶
砂糖の袋を揺すぶると
蝉が
コー・ヴァン・デン・フーヴェル(アメリカ)
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ripples in the pond
my mother's face
in mine
Johnette Downing (U.S.A)
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池にさざ波
私の顔に
母の顔が
ジョネット・ダウニング(アメリカ)
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resume returned
an over ripe melon
on the kitchen table
Naomi Y. Brown (U.S.A)
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もどってきた履歴書
台所のテーブルに
熟れすぎたメロン
ナオミ・Y・ブラウン
(アメリカ)
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木内選(和訳共)
sunset
the deep red
of an upturned radish
Ed Markowski (U.S.A)
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夕陽
逆さになった二十日大根の
深い赤
エド・マーコウスキー(アメリカ)
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spring sunshine
a spider web
between railroad cars
Earl R. Keener (U.S.A)
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春の陽
蜘蛛の巣が
車輌の間に
アール・R・キーナー(アメリカ)
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lazy afternoon:
resting in sun
lizard and I
Slobodan Joksimovic (Montenegro)
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ひだるい午後
陽の中に休む
トカゲと私
スロボダン・ヨクシモヴィッチ(モンテネグロ)
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wind farm
one generator not in sync
sunset
Naomi Y. Brown (U.S.A.)
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風の吹く農場
一つの発電機が調和しない
夕陽
ナオミ・Y・ブラウン
(アメリカ)
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