英作ハイク -入門-

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自句選
稲畑汀子選 鷹羽狩行選
自句自解:鷹羽狩行
英訳:星野恒彦エイドリアン・J・ピニングトン
雁過ぎしあと全天を見せゐたり (1953)
スケートの濡れ刃たづさへ人妻よ (1958)
落椿われならば急流へ落つ (1961)
みちのくの星入り氷柱われに呉れよ (1963)
エンパイア・ステート・ビル
摩天楼より新緑がパセリほど
(1969)
一対か一対一か枯野人 (1973)
山国の雪解しづくは星からも (1978)
道化服ぬがずてんたう虫の死よ (1982)
カナダ
太陽をOH !と迎へて老氷河
(1983)
ブラジル
海へなだれてアマゾンも銀漢も
(1996)

みちのくの星入り氷柱われに呉れよ

私は山形県生まれ。冬になると、太く長い氷柱が軒下にずらりと垂れ下がる。天上にはきらめく星座、それを氷柱越しに仰ぐ。中に花を入れて凍らせたものが「花氷」だが、こちらは天然の「星入り氷柱」。これは私の造語である。五歳の時に故郷を離れたままの私にとって、冬の美しい星々は、望郷の思いをつのらせ、そして童話の世界へと誘う。師の山口誓子が句集の序文で取り上げて褒め、進むべき道を示された一句である。1963年の作。

摩天楼より新緑がパセリほど

1969年、約1か月間のアメリカ出張で仕事のかたわら117句を得た。Empire State Buildingの102階からセントラルパーク(約100万坪)の新緑を見おろした。“箱庭”としたのでは絵葉書のようで俗っぽく、西洋料理の皿に添えられた“パセリほど”に見える高さとすれば、臨場感と伝達性が生まれるのではないかと思った。国際化が進むにつれて海外俳句の草分け的作品として評価された句だが、それだけに反撥する人も多い。