高浜虚子の俳句をバイリンガルで楽しもう!

あとがき

高浜虚子の俳句をバイリンガルでお楽しみ頂けたでしょうか?
高浜虚子の俳句には「よく考えよ」と謎を掛けられているような面白い俳句があります。
虚子100句の翻訳を通じて感じたことを総括しますと、「咲き満ちてこぼるる花もなかりけり」や「流れゆく大根の葉の早さかな」のような典型的花鳥諷詠の俳句ばかりでなく、「春風や闘志抱きて丘に佇つ」、「去年今年貫く棒の如きもの」、「明易や花鳥諷詠南無阿弥陀」など、心情を吐露する俳句、「囀や山かけて売る土地広し」や「神にませばまこと美はし那智の滝」など、花鳥諷詠のみならず言葉遊びをした俳句、さらに、「一つ根に離れ浮く葉や春の水」、「春惜む輪廻の月日窓に在り」、「爛々と昼の星見え菌生え」、「蜘蛛に生れ網をかけねばならぬかな」など、人事も含め大自然の摂理・宇宙の営みを諷詠する俳句など、高浜虚子は多角的に俳句を作り、「色即是空」の観念で辞世句「春の山屍を埋めて空しかり」と詠んで、俳人の天命を全うしたということです。

関係者のご厚意により、幸い虚子の生誕日(2月22日)から虚子忌・椿寿忌(4月8日)の前に本稿をHIAのホームページに掲載して頂くことが出来ました。ありがとうございました。

蛇足ですが、世界の人々にHAIKUに興味を持ってもらいたいとの思いから、次のような駄洒落をキャッチフレーズにして、L. P. Loveeのペンネームで英語俳句やエッセイを書いています。
World Peace through Haiku. Haiku is AI: not Artificial Intellegence, but Art of Intellegence, leading to ”LOVE”(愛). Haiku Aids Increasing Knowledge Universally. (俳句を通じて世界平和を! 俳句はAI:人工知能ではなく、「愛」へ導く「知の芸」です。俳句はあまねく知見を豊かにするのに役立ちます。)
 「俳句談義(12):『椿寿忌』の俳句と高浜虚子」など、「俳句談義」「俳句エッセイ」で述べた「虚子俳句への思い」を世界の俳句愛好者とシェアして頂き、ご意見・ご感想など賜れば望外の喜びです。


2018年4月4日 木下 聰 (国際俳句交流協会会員・花鳥同人)


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